債務整理の流れ(手順)

債務整理の流れ(手順)-概説

債務整理の大まかな流れ(手順)は次の図のようになります。

受任通知の発送

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引き直し計算

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債務整理の方針決定

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債務整理の実行

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受任通知(弁護士介入通知)の発送

債務整理で一番はじめにすることが、弁護士名で各貸金業者、クレジット会社などの債権者に「受任通知(じゅにんつうち)」を書面で発送することです。受任通知は別名「弁護士介入通知(べんごしかいにゅうつうち)」ともいいます。

この受任通知(弁護士介入通知)により、以後のいっさいの窓口は本人の代理人である弁護士になります。

したがって、貸金業者などからの支払い催促の連絡なども代理人である弁護士が受けることになります。

受任通知

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以後の窓口は弁護士

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業者からの支払い催促なども弁護士が受ける

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引き直し計算

債務整理を開始する意思表示として弁護士が「受任通知」を貸金業者、クレジット業者などの債権者に発送するとき、併せて過去の取引履歴を書面で開示するよう請求します。

そのため、受任通知発送後しばらくすると、各業者から弁護士に、取引履歴の書面が送られてきます。

この取引履歴には、過去の1回1回の借り入れと返済の記録(いついくら借り、いついくら返済したか)が記載されています。

弁護士は、この取引履歴を基礎情報として、「引き直し計算」をします。

「引き直し計算」とは、法律(利息制限法)で許された範囲で利息を返済したものと仮定して、借り手(債務者)の立場で借金の残額を計算し直すことをいいます。

引き直し計算では、利息制限法を越える「利息として」現実に返済してしまったお金は、さかのぼって、「元本」の返済に充てられたものとみなします。したがってこの場合借金の残額は減ります。

グレーゾーン金利が撤廃される前の時代(2009年頃まで)にサラ金やクレジット会社からの借り入れがある場合の多くは、利息制限法で許される範囲を超えた利息を返済してしまっているため、引き直し計算をすると、借金の残額が減ります。

債務整理で返済対象となるのは、この、引き直し計算後の借金残額となります。

引き直し計算後の借金残額が確定すれば、返済できそうか無理そうかを判断することができ、債務整理の方針(自己破産か任意整理かなど)を決定することが出来ることになります。

受任通知といっしょに取引履歴開示請求

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各業者が取引履歴の開示

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取引履歴をもとに引き直し計算

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引き直し計算により借金の残額を確定

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債務整理の方針決定

借金・債務の整理を弁護士に依頼することはイコール自己破産ということではありません。

「引き直し計算」の項で見たように、グレーゾーン金利が撤廃される前の時代にサラ金やクレジット会社から借り入れ/返済をしていた場合、引き直し計算によって借金は減る可能性があるからです。

引き直し計算によって借金の残額を確定したら、いよいよ債務整理の方針を決めることになります。

債務整理の方針を決めるにあたっては、引き直し計算「後」の借金・債務の残額と、本人の収入・資産等とを照らし合わせて、借金・債務を返済できそうか無理そうかという観点から検討します。

より具体的にいえば、引き直し計算後の借金・債務の残額を3年(36回)から5年(60回)程度の分割払いで返済が可能かどうかという基準で検討します。

引き直し計算によって減額された借金の額を36回~60回程度で返済できそうだということになれば、「任意整理(にんいせいり)」か「個人再生(こじんさいせい)」を選択することになります。

任意整理も個人再生も借金・債務を返済していく「返済型」の債務整理という点では共通しますが、任意整理が裁判所を利用しないのに対し、個人再生は裁判所を利用します。

なお、「特定調停(とくていちょうてい)」という手続もありますが、これは主に弁護士に依頼せずに本人が自力で債務整理をするときに利用する手続で、弁護士が債務整理をするときは通常利用しません。

他方、引き直し計算によって減額された借金の額を前提にしてもなお、これを36回~60回程度で返済できそうにないという場合は、自己破産か個人再生かを選択します。

自己破産を選択した場合は、原則として借金・債務は返済しません。

お気づきのように、個人再生という手続は、返済できそうな場合も返済できそうにない場合も利用できる手続です。個人再生は、自己破産と違って「返済型」の債務整理ではあるものの、個人再生で返済する借金の額は、引き直し計算後の残額をさらに大幅にカットしたものであるため、任意整理だと返済できそうにない場合であっても個人再生だと返済が可能な場合があるからです。

36回~60回の分割返済ができそうにない場合、自己破産と個人再生のいずれも利用できる可能性があるわけですが、両者のいずれを選択すべきかについていうと、自己破産によって仕事に影響が出る職業に就いている人や住宅などの財産を所有している人でこれを手放したくない人を除き、自己破産を選択した方が得策です。

自己破産の方が経済的負担も時間的負担も少ないからです。

引き直し計算後の借金残額を36回~60回で返済可能か?

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Yes→任意整理OR個人再生 No→自己破産OR個人再生

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債務整理の実行

債務整理の方針を決定したら、あとは方針にしたがって債務整理を実行するだけです。

任意整理を選択した場合は、本人にしていただくことは特にありません。弁護士がサラ金、クレジット業者と交渉し、和解を成立させます。今後返済していくことになる借金・債務の額、分割払いの方法(いつからいつまで何回の分割返済で、毎月何日に、どの口座に振り込んで支払うかなど)その他を書面(和解契約書)にします。

この和解契約書にしたがって、以後返済をしていきます。

任意整理後の返済においては、原則として利息はいっさい支払いません。したがって毎月毎月返済した分だけ借金が減っていきます。

他方、自己破産、個人再生を選択した場合は、それぞれ決まった資料や書面を裁判所に提出する必要があるため、これらを準備していただきます。

また、自己破産であれば裁判所に1回以上弁護士とともに出頭したり、管財人弁護士と面談したりする必要があります(管財人が付いた場合)。個人再生であれば再生委員(通常は弁護士が就任します)との面談が必要です。

自己破産の場合は、手続終了により借金・債務の返済が原則として免除(免責)されるため、債務整理はすべて終了します。

個人再生の場合は、手続き終了後、決定された返済計画にしたがって借金・債務を返済していきます。

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